小さな菜園のある暮らし

夫婦で南信州に移住。山登ったり、自転車乗ったり、野菜作ったりしています。

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旅で出会った忘れえぬ人

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渡辺くんと出会ったタジキスタンの大地 (2012年8月)


私たちは約3年7ヶ月の間、旅をしていました。旅の前半はバスや飛行機で、旅の後半は自転車での移動でした。
たくさんの人に出会いました。旅人だったり現地の人だったり。出会った人のことはほとんど憶えています。


その中で最も印象的だった旅人の一人に渡辺くんがいます。渡辺大剛くんです。彼とは去年(2012年)の8月、中央アジア・タジキスタンの首都ドゥシャンベの宿で会いました。
その宿では庭にテントを張って滞在していました。庭にテントを張って泊まるのに1人6ドルもかかるんですよ。日本だったら安いかもしれませんけど、タジキスタンの物価からすると高いんです。でも、この町ではここが最安なんですね。そんなわけで、この宿にはたくさんのサイクリストが泊まっていました。
私たちより先に宿にいた渡辺くんは、私たちの山用テント・エスパースを見るなり「山ヤですか?」と言って嬉しそうに話しかけてきてくれました。渡辺くんは世界7大陸の最高峰登頂の日本人最年少記録を持っている人でした。でもそれは自分から「実は自分は7大陸最高峰の・・・」と言って話し始めたのではなく、連絡先を書いてもらったメモ帳に小さく「7sumitter」と書いてあるだけだったんです。そんな控え目な性格に好感が持てました。
「自分の原点は自転車です」と言っていた彼は、ここ数年は自転車で誰も走れないような過酷なところを走る冒険をしていました。彼の冒険の話はとても興味深くて、特にチベットの話には引き込まれました。私もいつか走ってみたいと強く思いました。(中国の政治の問題で、今のチベットを走るのは難しいわけですが)


その宿には1週間滞在しました。毎日、渡辺くんや他の日本人旅行者と話をするのが楽しくて、あっという間に過ぎていきました。
渡辺くんの家は静岡で、南信州に住む私たちと家が近いことがわかり、さらに彼は冬の間は長野のスキー場でアルバイトをしているということでした。日本へ帰ったらうちに遊びに来てと誘ったら「いいんですか?本当に行っちゃいますよ!」と言ってくれて、日本での再会を約束しました。夫も私も、この再会をとても楽しみにしていたんです。


そんな渡辺くんの訃報を知ったのは、去年の12月、中国の青島で宿に滞在中のときでした。
厳冬期のロシアをムルマンスクという町に向かって走っている途中で交通事故に遭ったというのです。
この冬の大陸はとても寒くて、私たちも中国では雪の中を走行したりマイナス16度の中でキャンプをしていて、そんなときは「渡辺くんは今どこにいるだろう?ここよりずっと寒いだろうね」なんて、夫と話をしていたものです。


人違いであってほしいと思いました。でも、この季節のあの場所を自転車で走っているなんて、渡辺くん以外考えられないことでした。
その後のニュースを見ていても、やはり渡辺くんに間違いはないようで、それはまったく現実感がなく嘘のような出来事でした。


日本に帰ってきてからも私たちは自転車で旅を続けていました。
そして、静岡にある渡辺くんの実家を訪れました。夫のキャノンデールの自転車を見ると、渡辺くんのお母さんは「大剛が帰ってきたみたい」と言って涙を流しました。渡辺くんはキャノンデールが好きだったんです。事故から半年も経たないころで、ご家族はまだ悲しみの中にいるというのに、それでも温かい笑顔で接してくれて突然の訪問にもかかわらず「今夜泊まっていけば」と言ってくださいました。
渡辺くんは世界中を駆け回っていたけれど、いつもここに帰ってきていたんですよね。ここで冒険の疲れを癒し、次の冒険に向かっていたんだなと、この温かい家族のみなさんに接してわかりました。


旅で出会った印象深い人のもう一人に加藤彰さんという人がいます。
アキラさんは自らを「自転車野郎アキラ」と呼び、やはり世界中を自転車で走り回ってきた人です。アキラさんもドゥシャンベの宿で一緒に過ごした仲間です。
そのアキラさんは今年6月に無事帰国しました。そして「渡辺大剛というすごい人間がいたということを、渡辺の母校の後輩たちに伝えたい!!!」という熱い想いを抱き(熱い男なんです)、その情熱により渡辺くんの母校の小学校と中学校で講演会を開くことができました。アキラさんから「一緒にやりましょう!!!」との熱いお誘いを受けて、私は人前で話をするのが苦手なので迷ったんですけど、でも渡辺くんの後輩たちに渡辺くんのことを伝えたいという気持ちと、私自身がアキラさんの講演を聴きたいという気持ちがあったので、微力ながら参加することにしました。
アキラさんの熱い想いは子どもたちに十分伝わったようです。夫は、出会いを大切に、絆を大切に、というメッセージを伝えていました。
私は、渡辺くんというすごい人がいて、でもそれは遠い世界の人ではなく近所にいた身近な存在の人だったんだと実感してもらいたいと思っていました。
うまく伝えられたかわからないのですが、子どもたちが書いてくれた感想を読むと、子どもたちはそれぞれいろいろなことを感じて私たちのメッセージを受け取ってくれたようでした。
それにしても、中学校の子どもたちはしっかりしていますね。自分が中学生だったころはこんなにしっかりしていただろうか・・・はるか昔すぎて思い出せませんね。


旅を終えてから、長野でゆるゆると過ごしていたものですから、今回の講演は久々に緊張感があり身が引き締まる経験でした。
こういう機会を与えてくれた渡辺くんとアキラさん、そして渡辺くんのご家族とお友達、学校のみなさんに感謝しています。ありがとうございました。


旅行中に出会い、今も自転車で世界を走っているみんなのブログです。元気に楽しく旅をして、無事日本へ帰ってきて、そして笑顔で再会したいです。


アジア、アフリカ、ヨーロッパ走行を終え、現在北米を走行中のワタルくん
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現在ヨーロッパ走行中、もうすぐアフリカに入るケンタくん
My Itchy Feet Cycling Around the World


中央アジアで強盗に遭い旅を中断、今年6月に旅を再開したユーヘイくん
自転車で行く!!世界横断パノラマ撮影


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道にたたずむロバと子ロバ  タジキスタンにて(2012年8月)


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乾燥した山が続く  タジキスタンにて(2012年8月)
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  •  
  • 2017.06/09 03:20分 

返信 

はじめまして。コメントをありがとうございます。
メッセージの件、了解です。メールをしたのですがエラーになってしまいます。
  • posted by おにし 
  • URL 
  • 2017.06/11 16:55分 
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  •  
  • 2017.07/06 22:44分 

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